料金所にて

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 今のこの浮き足立った楽しさが永遠に続くように錯覚して酔いしれられるほどには、私たちは若くはなかった。
 「何を考えてるの?」
 と彼が聞いたのは別に私のことが知りたいからではなく、突然おとずれた沈黙を懸念しているのだと私は知っている。それで私は、少し前から窓に映るようになった自分の顔から視線をずらして、「ちょっと疲れちゃった」と彼に微笑むのだ。
 
 滑らかにブレーキをかけて開いた窓から、さっきまで降っていた雨を感じさせる湿った春の空気がしのび込んでくる。
 FMがこの先に続く道の渋滞を告げている。

(2006年3月18日撮影)
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by okayau | 2006-03-21 11:20 | 小品
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